10月22日(水)恒例の日本記者クラブ会議室で10月の講演会が開かれた。今月の講師は会員の石館陸男氏、エネルギー問題について造詣が深くバイオマス発電などを手掛けられており、今回は「水」をテーマに今後起こりうるであろう諸問題について語ってくれた。
我々日本人は水が豊富にある国に暮らしており、水について無頓着なところがある。水不足は年々深刻化し安全な「水」を持たない人々が世界人口の3分の2になるであろうと警鐘を鳴らし、この状況はさらに加速していくとの予測を述べた。世界の水資源は地域的に偏在しており、その限られた資源の取り合いはますます先鋭化し、水戦争がこれまで以上に勃発するであろうし、水インフラを整備する資金のある国とない国の格差がますます広がり、最も被害を受けるのが途上国の貧困層であるとも述べている。
このような水資源の枯渇問題に加えて水質汚染問題も顕在化してきており環境汚染に繋がる大きな懸案事項となっている。
日本の水道普及率は97.5%に達し、国民のほぼすべてが水道を利用できるようになっている。現在の日本の水道は1960-70年代の半ばまでに建設されたもので、更新の時期を迎えている。日本の水道ビジネスは、浄水設備の刷新と水道管の取り換えを進めつつ、これまで培ってきた世界で有数の水道技術を持って世界に進出してもよいのではないか。汚水をろ過して飲料水にする技術や、海水の淡水化、節水など個々の機器に関しては世界最先端の技術を持っている。これらと長年培ってきた公共水道の管理技術をもってすれば、世界のメジャーと伍していけるはずである。オールジャパン体制での水戦略を構築し、官民協力して水不足、水汚染地域に提供することもさらに進める必要があるのではないかと結ばれている。