フォーカス・ワンの10月例会が10月24日(金)日本記者クラブ会議室で開催された。講演者は当法人事務局長の大熊邦雄氏、同氏は幼少の頃より蝶の採集に興味を持ち現在に至るまで続けている。
演題は「蝶のはなし」、前半は蝶とは何かという事をその出現から生態など広範囲に専門的に語られた。なかでも興味を引かれたのが「蝶」と「蛾」の区別は基本的にないとの話、例外はあるが蝶は昼間に活動し蛾は夜間に活動する違いのみであるとの事。蝶は交尾相手を引き付けるのに昼間であるから視覚に訴えるため色彩が豊かであり、蛾は夜間活動するので色ではなく嗅覚に訴えるそうである。
後半はいよいよ本題に入り、「高山蝶」について。ここいら辺から目が輝きだし、弁舌もさわやかになってきた。特に同氏が興味の対象としているウスバキチョウを例にあげて、そのルーツから現在の生息分布、地域間での形態の違いと氷河期が大いに影響を与えたことを熱く語られた。今でも年に数回これらの裏付けを取る為にアジアを中心に所謂僻地ともいえる所に出掛けている。
話を伺った後の印象は、単なる趣味、興味を超えた「蝶学」の研究者としての大熊邦雄氏の姿を感じたのは私だけではなかったと思われる。
(文責 杉野)