フォーカス・ワン2月例会が平成28年2月18日(木)18時より恒例となっている日本記者クラブ会議室で開催された。今回の講師は当会会員であり、商社マンとしてヨーロッパやアジアに駐在経験のある国際派の熊谷春水氏、台湾にも1996~2002年に駐在しており、今回のテーマは先月1月16日に注目を集めた総統選挙が行われた「台湾情勢」。
講演は台湾の概要、歴史に始まり、今多くの人が関心を持っている中国との関係を含む政治の話で締め括られ、1時間という時間の制約のある中、要領よく簡潔に、かつ分かり易く語ってくれた。
国土の東側は山地が多く、富士山より高い山が8つもあると聞いて驚かれた方も多かったのではないかと思います。中央部に北回帰線が通っておりその南北で気候が大きく変わり亜熱帯と熱帯に分かれるなど初耳の話が多くありました。日本による50年間の統治時代に法治国家としての基盤が出来、その後の内政上の数々の貢献により、今でも極めて親日的な国家であるとの話を聞いて、先人の偉業を改めて認識すると同時に、怪しげな隣国に囲まれている中、こんな隣国があるのだと嬉しく思いました。
1月に行われた総統選挙は国民党の腐敗と劣化に国民の多くが嫌気を示し、民進党の勝利に終わりましたが、そこで見逃してはいけないのは若者を中心に政治意識が高まり、台湾人のアイデンティティーが前面に押し出された事ではないでしょうか。貧富の格差の拡大、汚職による腐敗、環境汚染、人権問題等多くの内政上の課題を抱えた中国に対して台湾がこれからどう向き合うか、これによりアメリカの対中政策も大いに影響されてくると思われます。自力で元首になったアジアで初めての女性である新総統の手腕に注目が集まります。
「近くて近い国」との言葉で講演は結ばれましたが、頼もしい隣人であるとの印象を多くの人が持ったのではないでしょうか。
また、李登輝元総統は京大農学部で農業経済を専攻し、当会の井出代表理事のお父上、そして猪熊会員も同じ専攻であり、それぞれ先輩、後輩であるこのご縁も紹介されました。
(文責:杉野)