6月の講演会は6月22日(水)恒例の日本記者クラブ会議室で第4期総会の後開催された。今回の講師は当会賛助会員であるコアドライブ社社長平本和美氏、同氏はリコーに勤務後、米系コンサルティング会社のパートナーを経て、2006年にコンサルティング会社を起業され現在に至っている。
クライアント各社に対して組織改革や技術経営などのコンサルティング業務を続ける中で、日本企業の知財戦略に着目、多くの企業が知財を事業戦略上優位に活用できる余地があるにも拘わらずあまり重要視していないのが実情で、知財を戦略的資産として捉え、対象とする世界市場の競争ルールに沿った効能や収益の最大化を提唱している。
まず、日本企業の知財を取り巻く環境変化と課題について、知財の有効活用は米国では重要視されているが日本での優先度は低く、その理由として、日本企業の知財は防御のため等のメンタリティや訴訟への気おくれ感に加え、侵害している企業を見極められない、知財評価能力が弱く有利に交渉出来ない、侵害訴訟を収入源にするノウハウがないなどの点を指摘し、課題として挙げています。
次に米国での競争ルールに適応できず苦戦する日本企業について、日米のライセンス収益規模の大きな違いついて例を挙げて示し、米国でのサービス実態の現状がどうなっているのか、そして更に委託する業者は数多く存在し、単に知財を売買するだけの所謂転がしをしている業者か、それとも会社の経営方針を良く理解して真の良きパートナーとなりうる業者かを見極める方法を具体的な例を挙げて示した。
締め括りとして日本企業の新たな選択肢とその可能性について、「ライセンス・ベネフィット」と「リスク回避」のマトリックスを良く見極めてコントロールしていくことが重要である旨述べられた。
(文責:杉野)