今年最後の講師は当会会員システムズナカシマ専務取締役の橋本幸夫氏。四国とほぼ同じ面積しかないイスラエルの魅力に迫る。
橋本氏のイスラエルとの付き合いは暗号化ソフトを1996年に輸入販売したことから始まる。爾来イスラエルとの関係は続き、その間 在日歴14年のイスラエル大使館員モシェ・フェルドマン(Moshe Feldman)氏と知り合ったことからイスラエルとの関係は更に深まった。またこの11月に日本企業とイスラエル企業間のビジネス交流を促進する一般社団法人日本イスラエルビジネス協会を設立するまでに至った。
「なぜイスラエルとの親近感を感じるのか?」。イスラエルの失われた10部族(当初は12部族あった)のうちの1部族(後の秦氏)が日本に渡来した説、よく似た地名(塩谷=シオンなど)があること、古代イスラエルの神殿に刻まれている菊の紋章、伊勢神宮奥の院の灯篭のカゴメ紋とダビデの星印が同じ、塩による清めの風習、祇園(シオン=エルサレムの地名)、帝(ミカドル=高貴な人)、駄目(タメ)など発音の似た言葉、などの例を交え、興味深い話を伺った。
一方、昨今のイスラエル人の日本人に対する評価は、スピード感と決断力に欠ける、交渉が面倒臭い、などネガティブな評価が一般的には多く、日本にラブコールを送るイスラエル人は多くない。
如何にして日本に対するネガティブ評価を覆すか、そんな中で数少ない日本にラブコールを送るモシェ・フェルドマン(Moshe Feldman)氏に講演はバトンタッチされた。
モシェ氏は、少年のころ宮本武蔵の本を読み、日本人の考え方・責任感(いわゆるサムライ文化)に感銘を受け、いつか日本に行ってみたいと思い、高校生の頃に柔道修行のため来日し、日本好きに更に磨きがかかった。しかし、そのモシェ氏でさえ、今の日本人はサムライ精神(特に責任感という面)を失ってしまっていると嘆いている。
イスラエルの歴史、国土の変遷、世界的な偉人の話から始まり、Iron Domeという国土防衛迎撃システム(過去8,000発/年間のミサイルを撃ち落した)、テルアビブがシリコンバレーに次いでベンチャー企業が多い都市であること、Intelのプロセッサーは全てイスラエル製であること、そしてこれら世界最先端技術を多数生み出す国になったのは、歴史的に常に外からの強いプレッシャーの中で生延びて来た故に「idea+work=success」という思考が身に着いたという話であった。しかし、日本はideaもworkもあるが「idea+work」の「+」が無いとも(idea, workそれぞれはあるが+になっていない)。
この「+」を日本が如何にして手にすることができるか。イスラエルから“日本はもういいや”と言われず、もっと多くのラブコールを送ってもらうヒントかも知れない。
(文責:田中資長)