7月度 例会「これからのアジアについて色々思うこと~日本と中華圏」

講師:槙田 邦彦 氏

 

2018年7月24日(火)18時よりフォーカス・ワン7月定例会の講演が東レ社員クラブにて、猛暑のなか42名という大勢の会員の参加のもと開催された。本日の講師は外務省で長年アジアを中心に活躍された槙田邦彦(まきた くにひこ)氏、講演題目は「これからのアジアについて色々思うこと~日本と中華圏」。

同氏は1968年に外務省に入省し中国語の在外研修を含め中国の専門家としてスタート、折しも中国との国交正常化という大きな節目に立ち会った。その後中国勤務、国内においては時の総理秘書官などの要職につかれて日本の対中国政策に大きく関わってこられた。

これらの貴重な経験のなかから、同氏が我々世代、更には子供や孫の世代に問いかけたいのは「この国とどのように付き合って、どのように共に生きていくのか?」という事だ。これまで10年で人口が1億人ずつ増え、GDPも急激に増えている「登り龍」ともいえる中国と、人口が減少傾向で経済も頭打ちの日本を比べて、「どう向き合い、どう考えるのか」が今の日本の大きな課題であると指摘された。

これまでの歴史を振り返れば19世紀以来列強が中国に侵略を繰り返していくなか、そして日清戦争での勝利を経て、我々日本人は上から目線で中国を見てきたのではないだろうか。それが中国にとって大きな屈辱となって、子供、そして孫の世代へと語り継がれている。日本では10年前のことがすぐに忘れ去られていくが、中国人のメモリーは長い、これを念頭にこれからの付き合い方を構築していく必要がある。

中国は国内外に様々な問題を抱えながら、いま習近平主席が圧倒的な権力を掌握し、「中国の夢」の実現に邁進している。隣国である中国とは尖閣諸島を含む東シナ海、ひいては南シナ海の問題を抱えており、そしてまた香港、台湾と目が離せない。このような環境の中で、日本の政治経済教育などで進む深刻な劣化現象を深刻に憂慮する、云々。

話はまだまだ盛りだくさんであったと思われるが、残念ながら時間の制約もあり、1時間超にわたる講演は終了した。

(文責:杉野)