講師:川上 れい子氏
川上氏は、東京都立国立高校を経て慶應義塾大学文学部卒、ルーマニア観光局公認アドバイザー、ルーマニア科学アカデミー・エリートメンバー、雑誌・テレビ等へ情報提供・執筆。三菱地所レジデンスクラブ、 ルーマニア大使館・明治大学などでルーマニア食・ライフスタイルなどの講座講師を通じ、ルーマニアの魅力を伝える活動をしている。
今回は、「ルーマニアバーチャル旅行~ワインと共に~」をテーマに約1時間にわたり講演をいただいた。
講演内容の趣旨は以下の通り。
ルーマニアバーチャル旅行に旅立つ前に、まずルーマニアの一般情報についてお話をしたい。ルーマニアは、中央ヨーロッパの南東に位置し、ウクライナ、モルドバ、ハンガリー、セルビア、ブルガリアと国境を接しており、国の東端は黒海に面している。
日本から飛行機で約15時間。直行便はなく、ウイーンやイスタンブール経由が一般的。面積は、238,391㎡で日本の本州とほぼ同じ。人口は約2,000万人で、日本の約6分のⅠ。北海道とほぼ同じ緯度に位置している。首都はブカレストで人口は183万人。公用語はラテン語起源のルーマニア語で、スペイン語、フランス語、イタリア語、ポルトガル語と似ている。通貨単位は、LEU(レウ)で1LEU=25.40円程度。
2004年にNATO加盟、2007年にEU加盟。
次に日本との関係について話をしたい。
日系企業の進出は、JETROの資料では94社(マキタ、NEC、富士通、商社等)で日本の主要輸出品目は、輸送用機器が36%。また、教育関係では七田式や公文も進出。ルーマニアに駐在している日本人は300人ほどで、渡航者は、2015年度は、21,188名と他のヨーロッパ諸国、例えばフランスへの渡航者60万人、ロシアは7~8万人と比べ少ない。2018年1月には、安部首相が、日本の総理大臣として初めてルーマニアを訪問した。非常に親日的な国で、日本語学習者は約2,000名と多く、また、アニメファンも多い。日本食、寿司レストランもオープンしている。
では、いよいよバーチャル旅行へ旅立とう。
旅となるとどんな時期にどういうものを見たらいいかと思われるので、春、夏、秋、冬のシーズン毎にルーマニア各地をひと回りするという趣向で紹介していきたい。
では、花と美女の春から。
ルーマニアは、インフラは整っていない部分はあるものの花に溢れている。自宅に招待された時の贈り物は、お菓子ではなく、必ず花。また、ルーマニア人の名前も花由来が多い。西に位置する街「ティミショアラ」では、4月後半から5月にかけて、「花のフェスティバル」が開催される。また、2021年には 欧州文化都市に指定されており各種イベントが開催され盛り上がるので、訪れるのにいい街であると思う。
ルーマニアの花畑は、菜の花なら菜の花、アカシアならアカシアと一種類の花で一面埋まるので、蜂蜜も純度が高くおいしいものが取れるので是非食してもらいたい。
春は花とイースターだが、オスマントルコとの戦いに勝利して建てられた世界遺産に登録されているモルドヴァ地方修道院のフレスコ壁画がとても鮮やかで風化せず素晴らしい。
また、教会や修道院が運営していたワイナリーも残っている。また、最近はワイナリーが出資した教会もある。
夏は大自然が素晴らしい。果てしなく続く広大なひまわり畑及びのんびり過ごしている家畜を車窓から眺める風景、小船でのドナウデルタのクルーズ、エステや泥パックが有名な黒海リゾート地がお勧め。あとは、食べ物。真っ赤なルーマニアのトマトは、イタリアのトマトに負けないくらい美味しいので是非とも。ルーマニアのスープ(チョルバ)やメイン料理にもトマト煮込みが多い。
秋は、ワインと美女。ワインになる前の発酵途中の葡萄酒が大変美味しい。最新設備も整っているワイナリーも首都から1時間程度で行けるので、訪れれば美女が出迎えてくれることも。現地の結婚式の二次会はワイナリーで行われることも多いので、ワイナリーで食事をするのもお薦め。
ルーマニアのワインについて紹介すると、ピノノワールやシャルドネもあるが、ルーマニアならではの土着品種に女性の名前をつけている。例えば、フェテアスカ・アルバは白い乙女、フェテアスカ・ネアグラは、黒い乙女の意味で非常にラテン的。また、熟したワインの品種名は、「バベアスカ・ネアグラ」で直訳してしまうと黒い老女だが、老女というより貴婦人という年(時間)を重ねたならではの表現にしている。ルーマニアの秋は是非ワインを楽しんでもらいたい。
秋の初めには、ドイツ的な街並みのブラショフ、町全体が城塞都市のようになっていてドラキュラの生家があるといわれており世界遺産にも登録されているシギショアラ訪問も観光にお勧め。
冬は銀世界。北海道と同じ緯度で気温が-25度くらいになるほど非常に寒い。但し室内はセントラルヒーティングなので暖かい。ルーマニアは12月1日が統一記念日だが、12月はクリスマスイルミネーションやクリスマスマーケットを楽しめる。あとは、3年前にオープンした近代的な温泉スパリゾートが楽しめる。また、スキーも有名。
日本でルーマニア気分を味わいたければ、錦糸町にLA IHAIというレストランがありルーマニア料理を楽しめる。ルーマニア料理はイタリア料理に似ており、チーズ等の乳製品をよく使う。また、寒いのでボルシチに通ずる酸味のあるスープやピクルスがあり、食べるとどこか懐かしい味に出会える。
12月10日~24日まで新橋(ギャラリーてん)でルーマニア展示を予定しているので、ご興味のある方は、是非お越しいただきたい。また、ルーマニアワインを気にいっていただければ、斡旋することも可能。
本日は、ルーマニアの今と四季について駆け足で紹介した。ルーマニアは南イタリアのような素朴な雰囲気がたくさん残っている。ルーマニアに旅したいという方がいらっしゃれば、知り合いのガイドも紹介できる。
講演後の懇親会では、講師の川上れい子さんにもジョインしていただき、芳醇なルーマニアワインを頂きながらルーマニア話に花が咲いた。
当日、懇親会で試飲したルーマニアワイン
(白)
①Maria マリア ルーマニア土着品種
「白い乙女(Feteasca Alba)」
透明感のある金色で適度な酸味と心地よい余韻が定評
②METAMORFOSIS メタモルフォシス
マスカットオットネル&ルーマニア土着品種
タマイオアサ・ロムネアスカ
フルーティーでフローラルな香りが印象に残る有機栽培ワイン
(赤)
③Prahova valley Reserve プラフォヴァ・ヴァレー リザーブ
ピノ・ノワール
柔らかい口当たりと余韻まで広がるチャーミングな果実味の香りが人気のワイン
④Kronos Pinot Noir クロノス・ピノノワール
ピノ・ノワール
ラズベリーやストロベリーの果実に、しっかりとした樽の香りが加わる甘やかさを表現
まとまりがあり、タンニンが上品
(文責 星野)