みどりのボランティア

参加者(敬称略); 松村 洋、杉野 恭、野村 征彦、山口 進、阿紀雅敏、安田博延、藤井幸子

十日町、只見関係の(敬称略):池田勝重、峠英男、佐藤茂巳、峠成二、紙谷智彦

 

実施日:2023年11月6-7日

 

概要:上越国際スキー場のゲレンデにブナの植林をしてから、すでに10年を経過しており、毎年その下草刈ができず、十日町の佐藤さん峠さん達が前回(2019年)以来毎年梅雨明けごろに草刈をしてくださって、 F1側として恐縮していた。コロナが明け、今年は冬の前に刈り払いをさせて頂くことになった。植林はしたもののブナに関するいろいろな知識を深めるために池田さん、佐藤さんが考えられた企画である。十日町から福島県境の只見のブナミュージアムを見学し、大白川(マタギの民宿、当主であった方は10月に急逝されたため、宿泊ができるか懸念されたが、奥さまが宿泊可能と快諾して下さった)での宿泊に加え、ブナ博士の紙谷先生のご講演、山の幸を使った奥様の手料理、翌朝のブナ林散策、その後は急遽小出の豪農の目黒邸見学、石川雲蝶の彫刻で有名な西福寺(越後日光開山堂)にご案内下さり、すべての段取りをしてくださった池田さん、峠英男、峠成二さん、佐藤さんに深くお礼を申し上げます。参加者は大いに満足し、ブナ林からエネルギーを頂き幸せな気分で帰京した。

 


訪問スケジュールと詳細:

11月6日:新幹線越後湯沢駅集合、佐藤さんがマイクロバスで迎えてくださった。

 

① 強風のため大沢山山頂展望台から眺望を楽しんだ後、ブナの植林したところへ移動、 用意していただいたおにぎりとお味噌汁をいただいたあと。楽しみにしていた刈り払いは、終了済みで、軽作業に代わり植林したブナに目印をつけるための作業に切り替わった。

 

② グリーンプラザではスキーシーズンに備えこの日から休業して様々な準備をしていた。 途中グリーンプラザの近くまでクマが出没するため、クマの捕獲檻が設置されていた。上越国際から只見への途中只見線と平行な道路を走り、美しい紅葉を眺めながら山へ上がっていく曲がりくねった道をずっと運転して下さった佐藤さんには感謝・感謝しかありません。途中入広瀬で休憩。水没した集落のことを想って、それが東京への電力に。

 

 

③只見エコミュージアム:太田研究員(何と野村さん、山口さんと名古屋で同じ高校の出身でした。まだお若い方で説明が上手で、生き物に対する愛情を感じた)が案内してくださった。ブナの話、ブナ林に住む豊かな生き物(動物、鳥、オオサンショウウオ、トンボなど)が展示されていた。只見のブナ林に固有の生物がいくつも見つかったとのこと。田口さんは日本トンボ学会のメンバーで、ちょうど「只見のトンボ」という企画展開催中だった。このような特殊なミュージアムは非常に珍しいので、一見の価値があると思った。

 

④マタギの宿「才七」到着。つい先日民宿のご主人が亡くなられたにもかかわらず、

奥様が快く受け入れてくださったことに感謝し、ご仏前にお参りした。 

 

⑤ブナと川のミュージアム館長の紙谷先生の只見のブナについてのご講演概略

ü   紙谷智彦先生:新潟大学名誉教授、スノービーチ【雪国のブナ】世話人、只見町ブナセンター館長、新潟県森林審議会会長

ü   大白川集落は福島と新潟の県境にあり、積雪は集落で2m、ブナ林は4~5mの豪雪地帯、縄文遺跡もあり室町時代には人が住んでいた。ブナ林に生かされていて、地産地消のできる地域だが、千年2千年の歴史で消滅寸前の集落である。都会の人には、消滅する集落御人々がどう生活を成り立たせているか知らない。豊かなブナ林を維持していくことが難しい。ブナ林としては白神山地に比較できる規模。

ü   ブナは3700万年から2500万年前であることが化石からわかっており、地球の気候変動に伴い、北上と南下を繰り返し、日本列島では積雪量の多い地域日本海側でイヌブナのブナ林が分布している。即ち豪雪地帯ではブナでなければ林にならない(戦後ブナを伐採して杉を植林したことは間違いだった)。

ü   原生ブナ林と生業のためのブナ林は区別すべき:もともと薪炭林として地域の人々が共に暮らしていた豊かなブナ林を育てるには、「ブナを間伐して育てよう」と浅井福三さんが大白川精算森林組合長の時代(25年前)から親木を残して間伐する取り組みをはじめた。ブナは太陽の光を浴びないと大きく成長できないし、100年以上の単位での時間軸で考えるもの。ブナ林は水源としての保安林の役割でもある。

ü   スノービーチプロジェクトは、ブナを川上、川中から川下までどう利用できるかえを専門領域の人達が関わり合い、ブナとの共生をめざす。その結果、生業林として、ブナの間伐、木材の伐採、木材の評価、選別など実際に何に使えるか?林業関係者、材木商、家具職人、消費者などからなるプロジェクトチームである。A,B,C,D材と選別されて、A,Bクラスは家具など、集成材にも使われる。C,Dは全体の3割にもなるため、C,Dをどう使ったらいいのかがビジネス的は意味がある。おがくずは新潟特有の需要がありキノコ栽培の菌床材に使われる。

ü   紙谷先生はスノービーチプロジェクトは集落維持のためのものと考えておられ、その哲学に感銘を受けた。

 

 

2日目(11月7日):紙谷先生のご提案で、間伐したブナ林を散策した。

 

① 間伐したブナ林散策:雨の中だったが、ブナ林の空気がとても気持ちが爽快になる。間伐することにより成長したブナ、10年経過でもあまり大きくなっていないが、間伐する前の部分は細いブナがたくさん生えていた。また、その間にブナ林にユキツバキやクロモジなどが生息するとのこと。クロモジは精油にするために企業に売ることができるとのこと。最後には約100年たった大きなブナを見に行き、紙谷先生とはお別れ。

 

② 越後の豪農 旧目黒邸見学:池田さん、佐藤さんのご提案で、豪農の屋敷を見せていただき、古い農機具などの展示があり、池田さん、峠さんが子供のころに使っているのを見たことがあると懐かしそうに話されているのを聴いて、知っている人がいなくなると道具の使い方についてもわからなくなるのでは?と老婆心ながら気になった。この目黒邸は割元庄屋の屋敷で、農地165町歩、小作人325人を抱えていたとのこと。屋敷の藁葺屋根の様式が特殊とのこと。

 

③ 西福寺(越後の日光開山堂。日本のミケランジェロ石川雲蝶の見事な作品がある):室町時代に開山、500年の歴史のある古刹。雲蝶は江戸末期の彫刻家(20歳で江戸石川流の奥義を極めた天才彫刻師)。廊下の板張りにも遊び心ある羽目板や欄間、襖絵などを見ることができて、皆満足した。

 

④ 皆で同じラーメンを注文して満足した後、浦佐駅まで送っていただきお別れした。皆さん次の予定もあるとかで、私たちの為に時間を割いてくださったことを、感謝して帰路に着いた。 

 

【参加者の感想】です。

 

松村さん:佐藤さん、池田さん,英男さん、成二さんに感謝

2日間にわたっての 今回の フォーカス―ワン行事では シーズン前の準備でお忙しい中 4人の方々総出でお世話してくださり 厚く御礼申し上げます いつもの事ですが

我々の 盛りだくさんの希望を 快くお引き受けくださり 行き届いた配慮 恐縮しています。今回の作業は 刈払いしていただいた後の軽作業でしたが フォカス・ワンのメンバーが 何かお役に立ちたいと言う意欲だけは 持っているのをご理解いただき 今後とも宜しくお願いいたします

 

 


 

野村さん:大変意義深く、楽しい2日間でした。10数年前から当間ゲレンデに植林した「ブナ」。

それなりに成長した木、そうでなく消えた木。いつも、とても懐かしい気持ちで胸ワクワクして訪ねます。

前座として、ミュージアムの「トンボ先生」太田さんの話。耳を傾けました。

真打・紙谷先生の分かりやすい「ブナ」の講義。先生の「ブナ」への深い愛情が伝わってきます。

早朝のブナ林への散策も気持ちよい時間でした。

「休む」とは「人が木に寄り沿う」と書く。英語でも「レスト」は「フォレスト」から木に寄り沿うと。

以前、賢人から聞きました。

 

民宿「才七」のイノシシ、熊料理は絶品でした。加えて、秋のキノコ料理も素朴で日本に生まれてよかった!!「雪中梅」「緑川」の喉腰の良さも絶妙!!

 

いつも運転くださる佐藤様、見事な地元解説の池田様。上国ホテルの峠様お二人。

お忙しい中、いつも絶大のご協力をいただきこの行事は成り立っています。本当にありがとうございます。いろいろ企画から実施まで藤井様のご苦労に感謝です。

上越のご縁を最初から支えていただいている方は松村 洋様。感謝!感謝!に尽きます。

 

杉野さん:とても充実したツアーでした。上越国際の佐藤さん、池田さん、峠さんお二人には大変お世話になりました。

福島県の只見迄足を延ばして、「ブナのミュージアム」の見学など普段触れることがない自然と、そしてそれに情熱を持って守っていこうとしている若い人との接点など、いい体験をしました。

盛りを過ぎたとはいえ、紅葉も大いに楽しむことが出来ましたね。

また、飄々とブナ林を整備して、地域の人達のメリットになるように林業を再興しようとしている紙谷先生の努力にも敬服させられます。いい空気を充分吸って、熊の肉も食べ大いにリフレッシュしました。

 

山口さん:池田さん、峠さん達に大感謝です。

紙谷先生のご講演にプラスしてブナ林の中でのお話も興味ある物でした。

雪の多い環境の中で育まれた形状、木々同士の競争、生き残り、菌類との共生など人間社会と共通する点もあるなと感じました。

またブナの生態の研究を踏まえ人と共生できるようにする活動にも感銘受けました。

宿泊での食事も満足でした。

 

阿紀さん:私は今回2回目の参加ですが、今回も上越国際の皆様には大変お世話になりました。紙谷先生のお話は、前回よりは(産地を川上とすると)川中、川下側に進んでいて大変感銘を受けました。ブナに対する想いがヒトを動かしているようですね。10年前に植林された木が大きいもので背丈近くなっていました。このご縁を継続したいものですが、F-1としてなにか知恵を出したいものです。池田さんのFacebookには昨日早速記事が動画入りでUPされていました。

 

安田さん:今回は「才七」に泊まれないのではないか、など事前からいろいろあり、天候もきわどいところはありましたが、皆さんのおかげで大変有意義な機会となりました。

池田、佐藤、峠氏らのきめ細かな配慮、状況に即応した計画の練り直しなど感心するばかりでした。私はずっと助手席にいて佐藤さんの運転ぶりを拝見する時間が多かったのですが、カーブで大胆なハンドルさばき、下りでの慎重な運転ぶりなど気を使っていただいているなと感じました。

池田さんらお三方も上越から車ではるばる来ていただき、感謝感謝です。

 

見学場所も只見線沿線に加えてブナと川のミュージアムでの太田係員の簡潔的確な説明は印象的でした。

夜は、才七のおかみさんの料理がうまく、山菜、熊汁を堪能しました。

入広瀬の道の駅の激辛せんべいも香ばしく、これもよいビールのアテでしたね。

そして、紙谷先生の講義。前回よりさらにわかりやすく、構成も練られており、ブナ林の理解が深まり(これまでの思い込み、誤解の修正もできました)、素晴らしいものでした。

また、翌朝のブナ林見学も雨が少し小降りになったタイミングで、前夜の説明と相まって理解が一段と深まりました。

それにしても仁左衛門こと紙谷先生は、お若くて大学を退職した名誉教授とは思えない、さっそうとした動きでした。

帰りに寄った西福寺開山堂の雲蝶作の彫刻も見事でびっくり。

昼の久しぶりのシンプルな醤油ラーメンもグッドでした。

本当に有意義な時間でした。

 

藤井:ブナについて、いろいろ教えていただき充実した2日間でした。池田様、佐藤様、峠英夫様、峠成二様、そして紙谷先生、才七の奥様には、感謝いたします。ブナ林といえば白神山地と思い込んでいる私には、只見のブナ林、そしてスノービーチプロジェクトの取り組みに感心致しました。紙谷先生からのブナについての講義は、私たちだけで聴くのは勿体ない位の内容でした。翌日のブナ林散策も雨の中とはいえ、とても豊かな気持ちになりました。「才七」に泊めていただいたことは、山で生活することの食生活を体験できたようで、奥様のお料理がとてもおいしくて、また訪れたいお宿でした。

そのあとの越後の豪農の目黒邸は興味深い農機具があり、池田さん、峠さんが子供のころに使ったことがあるとお話してされていたことが興味深かったです。西福寺の開山堂は何度見ても素晴らしい、日本のミケランジェロ、石川雲蝶は本当に天才でした。今回初めて峠さん達が、東電の鉄塔管理をされていることを伺い、このような仕事をされている方たちのお蔭で、都会にいるものが、安心して電気を使っていることを、どのくらいの人達が知っているのだろうか?考えさせられることも知りました。